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【10代の子供の死亡事故】刑事裁判に被害者参加し遺族の無念さを立証し、民事裁判において死亡慰謝料3200万円の認定がなされた事例

Kさん 10代・男性・大学生

【10代の子供の死亡事故】刑事裁判に被害者参加し遺族の無念さを立証し、民事裁判において死亡慰謝料3200万円の認定がなされた事例

解決事例のポイント

① 刑事裁判に被害者参加をして、遺族の無念さを立証し、これが民事裁判で慰謝料増額事由として認められた(3200万円)
② 事故時18歳の被害者について賃金センサスから年収約650万円の基礎収入額認定(逸失利益)
③ 父母のみならず祖父の近親者慰謝料も認定
④ 加害者の粗暴さについて、こちら側で証人を用意し、検察官へ証拠提出を要求。これが功を奏し被害者側の落ち度がないことが認められた(好意同乗減額の否定)
⑤ 総賠償額8200万円以上の獲得

 

法律相談

交通事故で息子さんを無くしてしまったとして、Kさんのご両親が法律相談にこられました。

お父様は悲しみを抱えながらも気丈に振る舞われておられましたが、お母様は最愛の息子を亡くし、感情の起伏が激しい状態となっていました。

ご両親に事故の内容をお伺いしたところ、普段から同級生を自身のバイクの後部座席に乗せて、危ない運転をして同級生を怖がらせて遊んでいたAが、Kさんにバイクの後ろに乗るように言い、渋々Kさんが同乗したところ、Aの運転するバイクがセンターラインをオーバーして対向からきた車と衝突してしまい、Kさんが死亡してしまったという事故であることが分かりました。

Aはまだ起訴はされていないということでしたので、Aが起訴された場合は遺族で刑事裁判に参加することを提案し、刑事の被害者参加と民事の損害賠償請求の両方のご依頼を受けることになりました。

 

刑事裁判 静岡地方裁判所(求刑どおりの判決)

1 捜査段階(警察・検察への捜査協力と死亡事故加害者が起訴されるまでの流れ)

すぐに捜査担当警察官に連絡を取り、現在の捜査状況の進捗を確認しました。

送検後の捜査担当検察官とも密に連絡を取り、遺族聴取の前には、ご遺族に対して検察官と話す際の注意点をお伝えしました。

加害者であるAも、被害者Kさんと同じく10代の若い男性であったため、起訴がされない可能性もあり、担当検察官も処分を悩んでいました。

Kさんのご両親のお話を聞く限り、Aは日頃から危険な運転をして同級生を困らせて楽しんでいたということでしたが、検察官がこの点についての証拠をつかめていないようでしたので、こちらで証拠を探すことにしました。

Kさんのご両親の協力も得て、死亡事故当日、KさんやAと行動を共にしていた同級生のWさんと話をすることができました。

Wさんは、日ごろのAの行動や事故当日のAの行動、KさんがAのバイクに乗ることを嫌がっていたことなどを供述してくれたので、Wさんの供述調書をとって、刑事裁判で証拠として請求するよう検察官にお願いをしました。

そうしたところ、検察官も当該方針を採用してくれ、この証拠も踏まえて起訴の判断をしてくれました。

2 起訴後裁判開始まで(起訴状や証拠の取寄せやそれらの内容確認・被害者参加手続・公判担当検事との打合せ)

捜査担当検察官より起訴の連絡を受けた後は、すみやかに起訴状の交付をお願いし、起訴内容を確認します。

また、検察官が刑事裁判に提出する証拠の閲覧・謄写の申請をし、証拠分析を行います。

これに加え、ご遺族が刑事裁判参加のご意向であったため、被害者参加手続も申出を行うなどの手続を行いました。

刑事裁判に被害者参加する場合、法廷の場でご遺族の心情について意見を述べることができますので、どのような意見を述べてもらうかについて原稿の打合せも行います。

この件は捜査担当検察官と公判担当検察官が同じだっため、引き続き同じ検察官との打ち合わせも行い、被害者参加弁護士と公判担当検事との役割分担(主に証人尋問や被告人質問について)等の取り決めを行いました。

3 刑事裁判(被告人側証人や被告人への追及、遺族の心情意見、被害者参加弁護士の論告意見を経て、求刑どおりの判決)

被告人Aは、事故自体は認めましたが、ブレーキはかけていたなど細かなところでは検察官側の主張と異なる主張をしていました。

情状証人として法廷に立った被告人Aの親は、今後被告人Aをちゃんと監督していくという証言をしました。

こちら側としては、被告人Aの親に対し、被告人が日頃から危険な運転をしていたことを指摘して、そのことを認識していたのか、そもそも認識すらできていないのにどうやって監督するのか、むしろ被告人Aの親自身がAにバイクを買い与えバイク運転を勧めていたのではないか、現場検証の際に親子でジャージ姿というラフな格好できていたが事故への反省の気持ちなどないのではないかなどの追及を行いました。

また、被告人質問では、なぜバイクの二人乗りを繰り返していたのか、後ろに乗せた同級生が怖がっているのになぜ法定速度以上のスピードを出し続けていたのか、過去の事故歴、後続車両が被告人Aのバイクのブレーキランプを確認していないことなどを追及していきました。

そして、ご遺族の意見陳述では、これまで何度も打合せを行ってきた原稿内容を法廷で読んでいただきます。

Kさんの件では、ご両親と祖父が意見陳述をしてくださいました。

Kさんがとても優しい青年であったこと、お母様に甘える子であったこと、友達がとても多く800名くらいが葬儀にきてくれたこと、Kさんは成人式に出席することがかなわなくなったのにAはのうのうと成人式に出席していたことなどをお話してくださり、Kさん自身の無念さ、遺族の深い悲しみや怒りの感情、Kさんがどんな人であったかなどを法廷で示してくれました。

その後、被害者代理人弁護士として論告意見を行い、①被告人Aが重大な事故を起こすことは偶然ではなく必然であったこと、②被害者の被害の状況説明(肛門が長さ20㎝以上で裂け・手の骨はむき出しになるなど)、③被告人Aの親には監督能力がないこと、④被告人Aに更生の期待はできないことなどを述べました。

過失犯というのは故意犯(殺人罪・傷害罪など)と比べ、加害行為の悪質性が低いとされることから、ご遺族の納得いくような判決結果にはなりませんでしたが、以上の立証が奏功し、求刑通りの判決を得ることができました。

 

民事裁判 東京地方裁判所民事第27部合議係(8200万円以上で和解解決)

無事刑事裁判の被害者参加を終え、次は、刑事裁判の証拠を用いて民事の損害賠償請求訴訟を提起します。

刑事裁判はご遺族とともに求刑どおりの判決を勝ち取りましたが、民事裁判は基本的には弁護士のみで行うことになります。

慰謝料 裁判基準を大きく超える3200万円の認定

当時の裁判基準では近親者慰謝料も含めて慰謝料総額は2000万円~2200万円とされていましたが、①関係者の陳述書を数通集め加害者の悪性格を立証したことや②ご両親と祖父の3名で被害者参加をして意見陳述したこと、③母が最愛の息子を亡くしたショックから急性胃腸炎となった診断書を提出したことなどが奏功し、裁判基準を1000万円以上上回る3200万円の死亡慰謝料を認定をしてくれました。

なお、保険会社側の弁護士は、搭乗者傷害保険を受け取っていることを慰謝料減額事由とするべきであるとの主張を行っていましたが、当該主張は排斥されました。

死亡逸失利益 5000万円弱の認定

Kさんは10代の大学生でしたが、賃金センサスにより約650万円の基礎収入額が認められ、5000万円弱の逸失利益が認められました。

過失相殺(好意同乗減額)なし

保険会社の弁護士より、Aが好意によってバイクの後ろに乗せてあげたのであるから、好意同乗減額がなされるべきなどの主張がなされましたが、保険会社側の弁護士は刑事裁判にも参加しておらず、今回の死亡事故の実態や事故に至るまでの経緯をまったく把握していなかったことから、保険会社側の弁護士の主張を事実ベースですべて排斥し、好意同乗減額の主張は退けられました。

合計8200万円以上の賠償金獲得

 

弁護士小杉晴洋のコメント:刑事裁判へ遺族が参加することで、刑事裁判も民事裁判も結果が変わることがあります

Kさんの件は、ご遺族とともに捜査段階から弁護士介入したことが決め手となりました。

警察・検察では、Aの同級生に対する聴取ができていませんでしたので、こちらでそれを探し出し、検察官に証拠提出を行いました。

それが決め手となり、刑事裁判の起訴がなされ、求刑どおりの判決が出て、民事裁判でも好意同乗減額の否定や死亡慰謝料額の大幅な増額をもたらしました。

死亡事故の場合、被害者本人がお亡くなりになっていて、死人に口なしの状況となっていますから、遺族側が何もしないでいると、加害者の言い分どおりに裁判が進行していってしまう危険性があります。

それでは故人も浮かばれませんので、積極的に遺族側が刑事裁判・民事裁判に介入していくことが重要です。

小杉法律事務所では、民事の損害賠償請求のみならず、刑事の被害者参加も数多く手掛けておりますので、死亡事故ご遺族の方は、まずは無料の法律相談を実施されることをお勧めします。

弁護士より、当該死亡事故の適正な道筋を示させていただきます。

この記事の執筆者

小杉 晴洋
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災などの損害賠償請求解決件数1000件超。

経歴
小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身・福岡市在住。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(当時。現「神奈川県弁護士会」)に登録後(損害賠償研究会所属)、福岡県弁護士会に登録換え(交通事故委員会所属)。